トップ > 最新情報 > 本村真人教授(電子機能システム研究コア)が, 第54回市村学術賞 功績賞を受賞(2022年4月15日)
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受賞者 | 本村真人教授(電子機能システム研究コア) |
受賞先 | 公益財団法人市村清新技術財団 |
賞 | 第54回市村学術賞 功績賞 |
受賞テーマ | 構造型情報処理に関する先駆的研究とそのAI処理分野への展開 |
贈呈式 | 2022年4月15日(金) |
東京工業大学科学技術創成研究院の本村真人教授(AIコンピューティング研究ユニット主宰)が第54回市村賞 市村学術賞功績賞を受賞しました。受賞テーマは「構造型情報処理に関する先駆的研究とそのAI処理分野への展開」です。公益財団法人市村清新技術財団が3月10日に発表しました。贈呈式は4月15日に帝国ホテル東京で開催されます。 市村清新技術財団によると、市村賞はリコー三愛グループの創始者である市村清氏(1900~1968)が1963年に創設し、現在は市村清新技術財団が表彰しています。日本の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果をあげ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をした個人またはグループを表彰します。市村賞には市村産業賞、市村地球環境産業賞、市村学術賞、市村地球環境学術賞があります。その中で市村学術賞は大学ならびに研究機関で行われた研究のうち、学術分野の進展に貢献し、実用化の可能性のある研究に功績のあった技術研究者またはグループに贈呈されます。
この度はこの栄誉ある賞を頂きまして心より感謝しております。日本電気株式会社(NEC)、北海道大学、東京工業大学と計35年にわたって、その時々の仲間と一緒に研究開発を続けてきた一連の仕事を高く評価頂けましたことに、望外の喜びを感じております。 これまでにご指導・ご支援くださった共同研究者、共同開発者、諸先輩、諸先生方、研究室のメンバー、および、研究生活を支えてくれた家族に深く感謝いたします。大変ありがとうございました。 現在、半導体・集積回路分野では、日本の産業競争力の復活や経済安保戦略などが大きな話題となっています。私は、そのカギを握るのは、トレンドセッターとなる新しいハードウェア・アーキテクチャの提案や、ハードウェア設計技術の競争力強化ではないかと考えております。AI処理の効率化を主題に、今後ともこの分野の研究と若い世代の育成に邁進していく所存です。
「構造型情報処理」は、処理構造を柔らかいハードウェアにプログラムする非フォンノイマン型の情報処理概念である。1998年に発表した動的再構成プロセッサ(DRP)はそのコンセプトを具現化した先駆的な研究成果に位置づけられる(図1)。ハードウェアを瞬時に切り替えられる画期的な特徴を強みとして、NECにおいて2000年代に研究開発とLSI(大規模集積回路)製品への事業展開を強力に推し進めた。2010年代以降は、北海道大学及び東京工業大学において、同思想に基づくAIハードウェアである深層ニューラルネットワーク(DNN)推論エンジンLSIやアニーリング最適化エンジンLSI(図2)等の研究を推進している。一連の研究成果は集積回路の最高峰国際会議である国際固体素子回路会議(International Solid-State Circuits Conference : ISSCC)等で次々に発表され、世界的な注目を集めている。 構造型情報処理は、多量のデータを流しながら大量の演算を積み重ねるAI処理との適合性が非常に高い。先進的なAI技術が社会にいきわたる今後のソサエティー5.0(Society5.0)時代を支える高性能・低エネルギーな情報処理技術として、今後更にその役割を増していくと期待される。このような構想を現実のものとするため、現在東京工業大学において、AIコンピューティング研究ユニットを主宰して、構造型情報処理の更なる発展を目指した研究を続けている。
本村真人教授(電子機能システム研究コア)
http://www.artic.iir.titech.ac.jp/