トップ > 最新情報 > 本村真人教授が,材料科学技術振興財団より山崎貞一賞を受賞(2022年9月13日)
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受賞者 | 本村真人教授(電子機能システム研究コア) |
財団名 | 材料科学技術振興財団 |
賞 | 山崎貞一賞(半導体及びシステム・情報・エレクトロニクス分野) |
タイトル | 動的再構成プロセッサの研究開発と事業化及びAI分野への展開 |
受賞日 | 2022年9月13日(火) |
この度はこの栄誉ある賞を頂きまして心より感謝しております。NEC,北海道大学、東京工業大学と計35年にわたって,その時々の仲間と一緒に研究開発を続けてきた一連の業績をご評価頂きましたこと,また、NEC時代の仲間と共に本賞を頂けましたこと,望外の喜びを感じております。これまでにご指導・ご支援くださった共同研究者,共同開発者,諸先輩,諸先生方,研究室のメンバー,および,研究開発生活を支えてくれた家族に深く感謝いたします。特に,一緒に研究開発と事業化の苦労を共にしたDRPチームの皆様には,受賞の喜びを共有しつつ特段の感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。
受賞業績のコアとなる動的再構成プロセッサ(DRP)の研究開発と事業化においては,仲間と一緒に研究を始めてから事業化に至るまでほぼ十年を要し,その経験から,「着想は一瞬、事業化は十年」という標語を肝に銘じるようになりました。その間,独自性を担保する研究開発を粘り強く進めることと,独自性に頼り過ぎずユーザーにとっての有用性を追求して事業化を進めること,その双方をバランスよく進め点が一番の苦労だったと思います。また,研究開発の中で,ソフトウェアとハードウェアの双方をバランスよく研究し一体化していく工夫と,優秀なソフト・ハードの技術者集団が一丸となってそれを現実にする努力を続けたことが,事業化が成功した決め手となったと思います。
今回,NECでの上記DRPの研究・事業化と,私個人が大学に移ってからのAI処理分野への発展的研究をトータルでご評価頂きました。それらの中を一貫して流れているのが,DRPの技術をより汎用のアーキテクチャ構想に昇華した「構造型情報処理」という概念です。この「構造型情報処理」の考え方がAI処理分野に非常に適していることを一早く提唱し,その観点からハードウェアアーキテクチャの研究開発を続けることで,北海道大学,東京工業大学においてもAI処理エンジン分野の研究成果を積み重ねることが出来ました。
現在,半導体分野では,地政学的な経済安保戦略に関心が集中しています。しかし,それと並んで、半導体の上に載る集積回路に関して,AI処理ハードウェアの世界的な技術競争が激化しています。こちらはより中期的な競争であり,技術立国であるべき日本にとって死活的に重要な意味を持ちます。私は,この分野のカギを握るのは,パラダイムシフトを産むような新しいハードウェア・アーキテクチャの提案や,ソフトウェアと連携したアーキテクチャの構想力・設計力の強化だと考えております。今回受賞させて頂いた業績を足場に,今後ともこの分野の研究と若い世代の育成に邁進していく所存です。
本村真人教授(電子機能システム研究コア)
http://www.artic.iir.titech.ac.jp/