トップ > 最新情報 > 5Gミリ波とBeyond 5G無線通信を加速する広入射角・広帯域電波吸収体を開発:李尚曄助教(電子機能システム研究コア)
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ビームフォーミングやステアリング機能との組み合わせでセキュリティ強化への応用も視野に
東京科学大学(Science Tokyo)※ 総合研究院 未来産業技術研究所 李尚曄助教らの共同研究チームは、ミリ波およびテラヘルツ帯に対応する広入射角電波吸収体を開発しました。
5GやBeyond 5G無線通信ネットワークなどの先進的な通信システムでは、150 GHzから300 GHzの周波数帯の利用が検討されています。しかし、チップやモジュールから反射・放射される不要な電波を数十ギガヘルツにわたる広帯域で低減するための電波吸収体などのコンポーネント開発は、十分ではありません。また、先進的なアンテナ技術と統合できるよう、広い入射角においても強力な性能を発揮することも求められています。
今回開発した吸収体は、ループ型周波数選択性表面(frequency selective surface、FSS)パターンを使用することで、入射角60度までの広帯域周波数吸収を実現しています。この革新により、5Gミリ波やBeyond 5G無線通信ネットワークなどの先進的な通信システムにおいて、吸収体の効率が大幅に向上します。特に、この吸収体はWi-Fiなどの低周波信号を通過させることが可能で、従来の吸収体とは一線を画しています。この二重機能により、吸収体は汎用性が高く、高周波信号の吸収と低周波数帯の伝送が求められる現代の通信システムに最適なものとなりました。さらに、アンテナへのビームフォーミングやビームステアリング
機能との組み合わせにより、情報漏えいを防ぐセキュリティ強化や人体保護などの分野への応用も見込まれています。
本成果は、2024年11月8日付(韓国現地時間)の国際学会「The 29th International Symposium on Antennas and Propagation (ISAP 2024)」にて発表されます。
(a) 30 GHz帯試作電波吸収体および測定系、(b) 150 GHz帯試作電波吸収体および測定系、(c) 30 GHz帯電波吸収体実測結果、 (d) 150 GHz帯電波吸収体実測結果。
李尚曄(電子機能システム研究コア・助教)
http://www.ateal.first.iir.titech.ac.jp/