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未来産業技術研究所は,機械工学,電気電子工学,材料工学,情報工学,環境工学,防災工学,社会科学等の異分野融合により,新たな産業技術を創成し,豊かな未来社会の実現に貢献することをミッションとして,2016年4月1日に,精密工学研究所,像情報工学研究所,量子ナノエレクトロニクス研究センター,建築物理研究センター,異種機能集積研究センターを統合して創設されました。
その前身の一つである精密工学研究所は,精密機械研究所(1939年創設)と電気科学研究所(1944年創設)が1954年に合併した研究組織で,古賀逸策教授(水晶振動子の研究)と中田孝教授(歯車工学と自動制御の研究)の2名の日本学士院会員を輩出するとともに,さまざまな研究成果を生み出し,産業界や学界の発展に多大な貢献をしました。例えば,機械を作るための機械である工作機械の数値制御技術における我が国のルーツであることは良く知られています。最近では,東京工業大学の元学長である伊賀健一名誉教授の面発光レーザの発明と実用化の研究が世界的に高く評価されています。また,像情報工学研究所は,我が国の大学における研究施設の先駈けとして,1954年に印刷技術研究施設として開設され,その後,1964年に印写工学研究施設と改名し,1974年に像情報工学研究施設,2010年に像情報工学研究所と改称しました。情報関連技術の中で様々な形で取り扱われる情報を捉え,その入力・変換・蓄積・表示・伝達・処理などの情報プロセスを幅広く取り扱う新しい視点に立った研究を推進してきました。量子ナノエレクトロニクス研究センターは,1994年に量子効果エレクトロニクス研究センターとして発足し,2004年に量子ナノエレクトロニクス研究センターに改称され,ナノ光・電子デバイスの新技術開発と産業応用に貢献してきました。これらの研究所・センターに,1934年に本学最初の附置研究所として設置された建築材料研究所を前身とし,免震構造・制振構造など先端耐震工学をリードしてきた都市防災工学を研究分野とする応用セラミックス研究所建築物理研究センターと,3次元集積回路などの技術開発と産業応用を推進してきた異種機能集積研究センターが加わり,異分野融合研究とその社会実装を加速する研究組織が誕生致しました。
未来産業技術研究所は,それぞれ10名程度の研究者を擁する14の研究グループ(研究コア)から構成され,情報工学,電気電子工学,光電子工学,機械工学,制御工学,バイオ工学,材料工学,環境工学,防災工学などの専門分野での基盤技術研究を深化させるとともに,各研究コアの異なる分野の研究者が密接な協力態勢を組むことにより,異分野融合研究を推進していきます。その中で,生体医歯工学研究コアは,2016年度からスタートした文部科学省のネットワーク型共同研究拠点「生体医歯工学共同研究拠点」の活動の中核を担うものです。また「先端研究基盤共用促進事業」では,キャンパス内に散在していたクリーンルームの集約化,共用化を進め,研究および教育の効率化を図り,研究者や学生へ高度実験機器を提供しました。また,2023年に開設した多元レジリエンス研究センターに参加する都市防災研究コアはする首都圏防災などに関わる研究を進めています。
また,本研究所の専任教員は本学の学院にも所属し,学部・大学院の講義・教育を担当して,学士,修士及び博士の学位取得のための研究指導を行っています。
未来産業技術研究所の異分野融合領域